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F次元のはじっこで

藤子・F・不二雄ファンによるブログ。ドラえもん関連の記事をかいてます。イラストサイト運営。
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覚悟はいい? 映画ドラえもん のび太の南極カチコチ大冒険を観てきたの巻

3月4日。今年もやってきた、年に一度のドラ祭り。
監督は、テレビシリーズでサイエンス描写に定評のある高橋敦史さん。

南極カチコチ大冒険という、一見かわいらしいタイトルとはうらはらにシリアスな予告編。
超オシャレなイメージボード。

というわけで、期待に胸を膨らませて観てきました!



---以下、ネタバレ---



はい好きです。カチコチ。
すっげー!

科学的解説がガチだった。すごくよく調べてて、それをわかりやすく、しかも正確に描写するぜ!というパワーを感じた。具体的な所はのちのち列挙するとして、こういった科学要素はすごくFイズムを感じる。わりとファンタジーに寄りがちなオリジナルドラ映画の中で、かなり健闘している。ほぼ完璧と言っていいと思う。

科学的根拠がしっかりしてると、観てて非常に安心感があるなぁと思った。

一方で、ヒューマンドラマは限りなく省かれてた。第一印象は「ドライ」だなと。無駄に上げ過ぎず下げ過ぎない感情の起伏が、なにかとウェットになりがちな昨今のドラ映画と比べて好印象だった。って、ウェットなのは渡辺歩監督の系譜だよね。とするとかれこれ二十年近くこのウェットさは続いてたことになるのか。
ドライな映画を観て感じたのは、感情を揺さぶられて疲れなくていいなと(笑)

登場人物の少なさも特殊。レギュラー陣5人に加え、人間タイプのキャラは2人のみ(回想でヒョーガヒョーガ星人がちょっと出るくらい)。両親すら一瞬。まあパオパオは沢山出るけど。重要なのは2匹だけだしな。「のび太の恐竜」より人物少ない。
ストーリーが時間軸を行ったり来たりして難解なぶん、キャラは限りなくコンパクトにしたんだろーか。結果としてはシンプルで良かったし、余計なヒューマンドラマを挟まずに済んで監督の意向ともハマってたし、何より南極という極寒で人気(ひとけ)のない舞台での孤独な冒険という感じがよく出てた。

あとは色彩の妙。氷がテーマということで、青と白を基調とした色作りがされてたけど、そこに、夕焼けのオレンジや紫、カラフルな古代都市、星空の輝きがすごく綺麗だった…そこだけ注目しても何回でも観返せそう。

今日までで2回観たんですけど、2回目はもっと楽しめた。なんだか見るほどに楽しめる気がする。明日、3回目に行くつもり。



雑感はこのへんにして、以下、箇条書きでつらつらと感想を書いていきます。




・かき氷食べたくて氷山に行く。海の霧からの氷山バーン!が未知の存在という感じが出てて良い。かき氷をたらふく食べたあとののび太の「地球全体が凍ってたらいいのに」みたいなセリフからのドラえもんのスノーボール・アースの解説。のちにまた復習してくれるのが親切。ドラ「昔地球は全体が凍ったことがあって」のび太「知ってる、マンモスとかがいた頃でしょ(氷河期のこと)」ドラ「それよりずっと昔、人間も生まれる前(全球凍結時代)」という何気ない会話も、よく考えられている。そう、ぼくらは氷河期は知ってるけど、全球凍結時代のことは知らない。それをのび太が代弁してくれてるからこそ、スノーボール・アース仮説への導入がスムーズにいくのだ!

・ドラミちゃんが氷難を予言するシーン。流行に乗りやすいドラミちゃんもかわいいが、このサイエンスゴリゴリな物語のきっかけが占いという迷信(実際には統計学だけど)というのが面白い。

・氷の遊園地を作るシーンがまさかのOP!こんな地続きなOPが!めっちゃ好み!こんなやり方があるんだなぁ。氷さいくごてを使うドラのびがすごい器用だし、氷が伸びたり解かされたりするアニメーションがめっちゃスッキリするしワクワク感が絶頂だった。あとOPの入りののび太のセリフ「さすがドラえもん!」で震える。

・一瞬で崩れた遊園地。早い。なんで氷山は崩れたんだろう。まあここはご都合主義。

・リングを見つけ、氷年代そくてい機で10万年前の氷で固定されたものだと判明。全球凍結に関する本を読んでると、地質学における年代測定はめちゃくちゃ大変な作業だと記されてるんだけど、そこはさすが22世紀のひみつ道具である。

・氷山が出来る過程のドラによる解説。断面図のアニメーションがすごくわかりやすいんですよねぇ…。「水飴みたいに氷が動く」という説明にのび太が食いついて、南極に着いてからもまだ執着してるのがまたい良いのだ(さっきから良いとしか言ってないな)。
ここのアニメーション、よく観てみると、南極大陸の地面を分厚い氷の底が引っ掻いて砕き、その破片が氷に飲み込まれて海まで動き、部分的に海底に運ばれてる。いやー、すごい。細部にまで「正確」な科学的描写をしているのには感服した。なんていうか、過去にその場所が凍っていた(氷河があった)かどうかを判別するための地質学的証拠となる地層(氷河堆積物)があるんだけど、その特徴は、土砂(細かい)と礫(大きい)が混ざりあっていることで、これは重たい氷河が地面をこそぎとって動いていたことに由来してるのだ。そして、ええと、うまく説明出来ないのであとは関連書籍を読んでください。
前夜にドラえもんが押入れで調べ物(たぶん氷山や南極のことだね)をしてるのが地味に好き。今回のドラえもんは博識である。

・南極へと冒険に出掛ける5人。空き地でどこでもドアを前に「覚悟はいい?」と笑顔で問いかけるドラえもんが最高。「覚悟」ですよ!南極だからね。死をも覚悟するのですよ!「準備はいい?」とかじゃなくて「覚悟」!

・南極での犬ぞりシーンがまたいい。植村直己の北極圏の冒険を彷彿とさせるほどのガチめな感じ。極地の綺麗さと怖さを描いていた。氷河のクラックに落ちたり(死ぬ)、ブリザードに吹き飛ばされたり。ドラえもんの「ビバークしよう」が良い。ビバーク!しかも説明無し!

・テントが飛ばされたドラに対して、氷ざいくごてで穴を掘るのび太が妙に冷静。今回、のび太は冷静ポジションだね。

・のび太は冷静なんだけど、小学生らしさをしっかり持ってるのが好印象。ジャイスネも子供らしい。去年の新日本誕生は大人過ぎた。宇宙英雄記は子供過ぎた。
「映画といえばジャイアンがかっこいい」とかいう一辺倒な意見をぶち壊してくれた。ジャイアンは星空のもとはしゃぐし、カーラに対して怒りをぶつけるし、リングは地球に返せと詰め寄るし、駄々をこねて泣く。等身大の小学生だった。関係ないけどジャイスネのバンジージャンプからのタケコプターはなんか面白い。

・パオパオめっちゃかわいい。モフ~
モフスケが最初のびドラに懐いているのが、後で伏線だったことに気づく。すげー。

・カーラは気が強いけどかわいいしとっつきやすいクセの無い良いキャラ。F作品の女の子キャラに共通する天然な感じがあって良い。関係ないけど最初言葉が通じないときに「ナンダーアレワー(何だアレは)」みたいなセリフがたしか聞こえたと思う。
シェルターでヒャッコイ博士と夕飯作る時のシーン、普段からああやって狭い台所で工夫して料理しつつフィールド調査をしまくってるんだろうなというのが想像できた。ジャガイモばかり食べてるというのも、どっかの恐竜化石探しの研究者みたいで雰囲気バッチグー。こういう「らしさ」の積み重ねが至る所に出てて、監督のこだわりと丁寧さを感じた。

・パオパオダンス(豪華版)は笑う。卑怯だぞ!でもなんかかわいかった。

・コンニャクがカッチコチなのも最高。その他、色んなものが凍結してて、寒さが伝わってきた。

・地底世界の人工的な空、そしてその色の変化がすごく綺麗で怖い。夜に追いつかれるという表現も素敵。

・ヒャッコイ博士によるブリザーガの説明。ドラえもんによるスノーボール・アースの復習。
古代ヒョーガヒョーガ星人は、住めそうな星々でブリザーガを造り、その星をまず凍らせたんだそう。その理由は、一度凍らせて、解けたあとに急激な生物相の変化があるから、と。地球のスノーボール・アースのそのせい?と思わせといて、実は地球にあるブリザーガは未完成だから、それ以外の原因で凍ったんじゃないかとヒャッコイ博士。
ここ、すごくよかった。ブリザーガというファンタジックな存在を持ってきて、凍る現象を分かりやすくしつつ、地球が凍った原因は別にあると、サイエンス的フォローをしっかりしてた。実際、地球が凍った原因は大陸配置やら大気組成などが複雑に絡んでてこんな映画で解説できるものじゃないけど、説明せずともサイエンスを否定しない表現は大事なのだ。

・スノーボール・アースの後に多細胞生物が登場し、のちのカンブリア爆発へと繋がったわけだけど、それを逆手にとって、人工的に凍結をさせて生物相を変化させてから移住するという古代ヒョーガヒョーガ星人の発想はすごい。しかも、それは「なぜこんな凶悪なブリザーガという兵器をつくってしまったのか」という動機として十分納得できるもの。「住むために凍らせたのだ」「凍らせたら住めなくなるじゃんか」という問答もいい。この映画、こうしたさり気ない会話が科学的理解度を上げてくれて、観客を置いてけぼりにさせないようしっかり計算されてると思う。

・謎のボムプディング推し。全キャラが食べてボウン→プシュー→満足げな顔。元ネタはなんだ?

・ヒャッコイ博士が人形を使って過去の冒険を語っているシーンは、こうした閉鎖空間で普段からこうして楽しみながら暮らしているんだろうなぁというのが想像できた。ヒャッコイ博士とカーラも仲良さそうだし。いいよなぁ、こういうフィールド調査。

・「さがし物ステッキ」は「たずね人ステッキ」とは別のひみつ道具なんだろうな。前者は物が対象で、後者は人が対象。ピョンピョン跳ねるし、感情もありそう。

・塔にて偽ドラと対決。塔を守るペンギン像が変身した姿。巧妙な手をつくして侵入者を阻むプログラムが組み込まれてるんだろうな。ほぼ侵入者なんて来ない南極の底の底でずっと待ってたと思うと、海底鬼岩城のお魚さんを思い出す。
偽ドラになって唐突にドラのびの友情的な話が出て来て、ここだけこの映画と作風が異なるんだよな。やるなら思いっきり感情をゆさぶってほしいけど、そこはドライなこの映画なので、ジャイスネも真ドラを冷静に疑ってくるし、のび太もまた決めかねる態度。解決後ものび太は泣かないし、ジャイスネも一言謝るのみ。すげードライだな(笑)
最初にこの場所に来た時の、氷漬けのドラえもんというビジュアル見せがまずあって、それを回収するためのシーンなんだとは思うけど、ちょっとここだけ瘤のように飛び出してる気もした。
でもかなり怖いシーンであるのは間違いなく、偽ドラの表情やらかわいそすぎる真ドラやらで、近くの子供が半泣きになってた。

・時間を行ったり来たり。タイムベルトのシーンでの秒針の音が、劇場内に鳴り響いてた。

・10万年分離れ離れになったドラのび。両者が時を超えてトリックを解く。のび太の察し能力は今作すごい。
初見だと、今10万年前なのか後なのか、理解できない子供も多そうだ。でも、それは決して難解じゃなくて、数年後成長した子どもたちにぜひ見返してもらって、こういうことだったのか!となってほしい。こんなことを期待できるオリジナル作品は初めてだ。

・10万年後の地底が氷の海に閉ざされていたのは、このブリザーガとの戦いで空にあいた穴から冷たい海水が落ちてきて固まったんだろうな。でもここで固まったリングと氷が未来に氷山として外部に出たということは、この都市と外部とはどっかで繋がってるということか。

・研究者2人とドラ達のあっさりしたお別れ。漫画でいうところの2コマくらいでお別れ。ドライである。良い…。
そして誰もいなくなる古代都市。現地人が誰もいないんだなぁ。この寂しさと氷の冷たさがすごくマッチしてるんです…。

・そして屈指のラストシーン。10万光年先のヒョーガヒョーガ星が、10万年と1週間未来である現代から見えている。南極の地底深くで出会った子が、遥か彼方の宇宙で、大昔に生きていて、それを今見ることが出来るというロマンですよ。「光年」という、時間と距離が合わさった単位の魅力をこれほどまで美しく描けるとは…!!しかもそれがあっさりしてるんですよね。屋根から空を見上げるドラのびと、「精霊よびだしうでわ」を彷彿とさせるセリフ。ああ!精霊よびだしうでわ!!!!!!まじかそういうことか…!




というわけで、思い出せる範囲でつらつら書いてみました。
こう書いていると、惜しい点というのがあまり出てこないなあ。初見時は、なんか言葉にしにくいつっかかりもあったような気がするんですが、2回目はもう文句なしで見れた。たぶん、CMやら広告で「ドラのびの友情」がクローズアップされてたのが、実際は冒険色が強いというあたりで拍子抜けしたのとか、いわゆる「感動演出」が無かったから例年と異なる感覚に襲われたんだと思う。
そういう意味では異色な映画だったけど、根本はこれ以上ないくらい王道な作風(原作的な意味で)で、僕はすごくハマった。ドラえもんはサイエンス!ということを思い出させてくれた。

鑑賞後、カチコチの良かったところを考えていたら、どんどん前作の新日本誕生の好きじゃないところが見えてきてしまって。なんというか、新日本誕生は最高だったんだけど、キャラの感情がウェットすぎるし、頬染めすぎだし、大人過ぎて小学生らしくないというあたりが実は自分は嫌だったのかも、と思ってきてます。カチコチはそれと対極にいってるから。
どの映画にも好きな場面と嫌な場面、好きな表現と嫌な表現はあるので、一言では言えないし、新日本誕生は全体として好きな映画なのでこれ以上語ることはやめとく。でも、このウェットが当たり前な昨今の映画ドラえもんで、ここまでにドライな映画を造りきったというのは本当にすごいし、これからの可能性も広げてくれたような気がする。本当に良かった。あと5回は観に行く!



最後に、来年の映画ですけど…海賊と航海がテーマ。
「南極カチコチ大冒険」のあとに「南海大冒険」だとギャグにしか思えないし、F先生の没後作品をそのままリメイクするというのはあり得ないと思う。やるなら、短編「南海の大冒険」を元にした、別方向でのオリジナル作品になると思う。それはそれで楽しみかも。新大魔境、新日本誕生と、原作そのままのリメイクが続いてた(どっちも八鍬監督じゃん:悪口ではないけど)中で、リメイクでもオリジナルでもないような作品がここで登場…と。また新しい感覚で映画を見れるような気がしてる。監督は今井一暁さん。

でも、これで海底鬼岩城のリメイクがまた遠ざかったと思うと、それはそれで残念かも。まあいつかやるでしょう。
といいつつ、来年のは海底鬼岩城+南海大冒険の折半のような内容だったらちょっと面白い、とかなんとか。

南極カチコチ大冒険

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